【短編】勿忘草−花に託す愛言葉−
辿り着いた隼人の部屋の前で、チャイムを押す手が震える。
少し、怖い。
今更って拒絶されたら……。
その時不意に、店員さんが教えてくれた隼人の言葉を思い出した。
“あの騎士と同じ思い”
……私を忘れないでください。
隼人のバカッ!!
私には早く忘れて幸せになれとか、かっこつけて言っちゃって。
本当は忘れてほしくなかったんでしょ?
好きでいてほしかったんでしょ?
言ってよ……。
私、隼人のこと忘れられるわけないじゃん!!
「俺のこと待ってて」
私はきっとそう言ってもらいたかったの。
離れることで不安になるから。
確かな言葉が欲しかった……。
言葉にしないと伝わらない思いもあるんだから!!