【短編】勿忘草−花に託す愛言葉−
「いつから待ってる?」
ん?
んんっ?
…………あぁーっ!!
慌てて辺りを見回すと、日が暮れて少し薄暗くなっていた。
アハハッ、やっちゃった。
「五時半くらい、かな」
たどたどしく答える私に、はぁーっと深い溜息をついた隼人。
私の手をゆっくり離すと頭を抱えだした。
「今、六時半」
はい、分かってます……。
そう、待ってる間に長時間寝てたみたいなんだよね。
だから怒られちゃったんだね、うん……納得。
「ごめんなさい。ぽかぽかして気持ち良くって、つい」
岩にもたれかかって、一時間ぐらい?
どこでも寝れるなんてある意味特技かな、なんて。
口が裂けても言えない……。
「心配かけんな。こんなとこで寝てたら危ないだろ!」
いつものように隼人に怒られる私。
実はこれって私の日常茶飯事。
「ごめんなさい」
本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになり、私は弱々しく呟いた。