【短編】勿忘草−花に託す愛言葉−
だから、今はこれだけ。
携帯を取り出しメールを送る。
―――
ずっと忘れないよ。だから、ずっと忘れないでね。
―――
花壇に咲く勿忘草を眺めていた。
寂しげに見えていたその花は、いつの間にか温かく優しく見えて、とても嬉しそうだった。
ありがとう……。
少しして、私の携帯が鳴った。
隼人からだ。
携帯の画面を開き、思わず顔に笑みが零れる。
―――
忘れないよ、ずっとな。ありがとう。
―――
携帯を閉じて、空を見上げる。
この青い空の向こうのどこかに隼人もいる。
遠くても生きてれば会えるんだから。
もう少しだけ待っててね。
会って直接言うから……
私から
あなたに
愛の言葉を。
ずっとずっと……
愛してるよ。
【END】