【短編】勿忘草−花に託す愛言葉−
「何もなくてよかった」
いつも隼人に心配かける私。
そんな私の無事を確認した後、安心してとびっきり優しい笑顔を見せる彼。
「隼人〜!」
その笑顔が嬉しくて思いっきり飛び付く私。
「うわ……っ!!」
勢いよく飛び付きすぎてしまった私は、隼人をその場に押し倒していた。
「あっ……。ごめんね?」
「ハハッ……もう慣れたよ、いつものことだろ。とりあえずこの状態はやばいんだけど?」
そう言われてゆっくり視線を下げていく。
えっ?
キャッ!!
ぅ……う……馬乗り!!
周りから見ると、野外で男を押し倒す痴女?
うーっ、やばいって私〜っ!
顔が赤くなるのを感じながら、慌てて隼人から飛び降りて手を差し伸べた。
「ほんとごめんね」
「気にすんなって」
隼人の大きな手は私の手を掴むと、ひょいっと軽々体を起こした。