【短編】勿忘草−花に託す愛言葉−
小さな花の鉢植え
「それにしても、ある意味特技だよな」
隼人の家に向かっている途中、横からポツリと言葉が聞こえてきた。
私と同じこと思ってる!
ってそんなことが嬉しくなって、
「でしょ! すごくない?」
なんて調子に乗って、ちょっと得意げな私を待っていたものは、
“でこピン”だった……。
「痛いよぉ……、隼人〜」
「自業自得。俺がいつもどれだけ心配してると思ってんの?」
眉をしかめながら笑ってる。
そんな隼人の顔を見て、私は笑えなくなった。
だって、この顔は私のことを心配して怒ってる時の顔だから。
反省――……。
待ち合わせの時、私はい〜っつも待ち合わせの時間より早く行って、隼人の仕事が終わるのを待ってるんだ。
一分一秒でも早く会いたいから!
それにね、待っている間の時間嫌いじゃないの。
仕事が忙しくてなかなか会えない隼人。
久しぶりに会えるんだぁって思うと心が踊る。
ドキドキ、ワクワクするの!!
で、待ちながらよく寝ちゃってるんだけどね。