【短編】勿忘草−花に託す愛言葉−

「あっ、もうすぐだね!」



歩いて数十分の道をのんびり二人で歩いてきた。


閑静な住宅街の一角にあるマンション。


パッと見てもおしゃれな雰囲気。


ちょっと変わってるのはマンションの敷地内に公園のような庭園があること。


白いベンチに小さな噴水。


手入れの行き届いた花の数々。


どうもこのマンション、ある資産家の趣味でつくられたものらしい。


ちょっと家賃は高め。


そんなとこに住んでる隼人ってすごいんだなぁ……と顔を見上げた瞬間。


視線がぶつかった。



「ん?」



あっ、見つめられるとダメ。


いつになっても慣れないよぉ。


キュン

って胸が締め付けられる。


……で、思うんだ。



隼人のこと、今も初めの頃と変わらず好きなんだって。


ううん、気持ちは止まることなく膨れていってるんだって。





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