Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



「いいや、初めて。インターネットとカーナビのお陰だよね。無事にたどり着けるか、ちょっと緊張したけど。久しぶりにみのりちゃんに会うからね。人の目が気にならないゆっくりできる場所をいろいろ探してみたんだ。」


 石原がテーブルに頬杖をついて、きれいに整えられた髭に縁どられた口を緩ませて、みのりを見つめた。

 石原の優しい言葉は、みのりの胸をきゅんと切なく鼓動させ、そして先ほどの不安をみのりの心から洗い流してくれる。


 料理を食べ進む内に、みのりも緊張が解け、本来の笑顔とユーモアに富んだ口調が出てくるようになった。

 石原はそんなみのりの顔を時折じっと見つめ、みのりの話す話題に小気味のいい相づちと笑い声を洩らした。


「そう言えば、新採用おめでとう。まだお祝い言ってなかったよね?」


 料理も食べ終えた頃、思い出したように石原が言った。


「ありがとうございます。でも、3年前と同じ職場なんて新鮮味がなくって…」


 みのりは、デザートのレモンのムースを食べる手を止めて答えた。



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