Rhapsody in Love 〜約束の場所〜


 でも、お見合いをすることは、何だか適当な相手で妥協しているようで、みのりには納得がいかなかった。

 この歳までいろんなことを経験してきているからこそ、劇的な出会いなどないということは分かっている。だけど、妥協するくらいなら独りでいてもいいと、最近のみのりは考えるようになっていた。

 ……何より、心の中の石原の存在が、結婚に対してみのりを躊躇させていた。


「まあ、かあさん。みのりは帰ってきたばかりなんだから、ちょっとゆっくりさせてあげたらどうだい?」


 隆生が居間に入ってきて、喜美代にそう言った。


「んもう!お父さんがそうやってみのりを甘やかすから、こんな親の言うことを聞かない娘になったんだわ!」


と、喜美代は今度は隆生に当たり始めた。


「親不孝で、ごめんなさい。」


 みのりが肩をすくめると、隆生はみのりに目配せして、スイカを一切れ手に取った。


「まあ、どうでもいいけど。これ、写真と釣書に一応目を通してね。会ってもいい人がいたら、教えてちょうだい。」


 喜美代が台所へ立つと、みのりはため息を吐き、お見合い写真の一冊を手に取った。




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