Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 みのりは遼太郎と衛藤の方にも視線を向け、元気そうな様子に安心して、目であいさつした。


「何って、文化祭の準備よ。」

「ふうん。」


と、二俣はみのりが手をかけていた段ボールを、代わりに車の中から引っ張り出してくれた。


「ラグビー部は菅平から帰ってきてたのね?充実した合宿だった?」


 みのりがそう尋ねると、途端にラグビー部の三人は、合宿の記憶が甦ったのか、一瞬その顔を恐怖で凍り付かせた。


「……た、大変だったんだね?」


 みのりが大体を察して声をかけると、二俣は涙をにじませた。


「……大変なんてもんじゃねーンだよ、みのりちゃん!!江口ちゃんのあのシゴキは…!何度『死ぬかも…』って思ったことか!!エンドレスのランパス…!合宿所までのランニング…!試合に次ぐ試合…!もう、きついのなんのって!!」


 そんな二俣の訴えを聞いて、みのりは少し気圧されて目を丸くしたが、その目をくるりとさせて肩をすくませる。


「そう。でも、きつくないと練習にならないじゃない?」


 みのりがそうサラッと言ってのけると、先日合宿前に同じようなことを言われた遼太郎は、ギクリとした顔をした。


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