Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 そんな遼太郎の表情を見て取って、みのりは言葉を付け加える。


「そのきつさを乗り越えられたんだから、技術だけじゃなくて心の方も、きっと随分成長できたんだと思うよ。」


 みのりがにっこり笑ってそう言ってあげると、三人はまんざらでもない顔をした。


 しかし、優しい言葉をかけられて、二俣は調子に乗り始める。


「そう!俺たち頑張ったんだぜー!だから、みのりちゃん!」


 二俣は両手を広げて、みのりにアピールした。


「アイスおごって!」



「…はあ!?」


 みのりは作業の手を止めて、二俣を顧みた。


「こんなに暑いんだから、アイスの一つでも食べたくなるよ。なぁ!?みんな!」


と、二俣は周りの1年生に振った。
 途端に、みんなの顔が〝アイス〟への期待に輝く。


「まだ、部活の最中なんでしょ?」


 怪訝そうなみのりの返答に、二俣は反論した。


「いや、これから夕方まで休憩。暑いから。ねっ、お願い。遼ちゃんにはメロンパンくれたんだから、俺にも何かおごってくれたっていいじゃんかよー!」


 みのりの目と遼太郎の目が、パチッと合った。



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