Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 申し訳なさそうな表情をして、とっさに遼太郎は目を逸らす。



「ねー、ねー。みのりちゃん♪アーイース!」



という、矢継ぎ早の二俣の攻勢に、……みのりは折れた。


 確かに、こんなに暑い中で頑張っているのだから、ちょっとしたご褒美も必要かもしれない。


「……わかった。その代り、みんなの分も買ってきてくれる?」


 二俣はにんまりと笑い、パシリに使われることも厭わなかった。


 ラグビー部の三人が近くのコンビニまで買い出しに行くことになり、みのりは二俣ではなく遼太郎を手招きした。
 皆に背を向けて遼太郎の背に手を当てると、遼太郎も背を丸めて内緒話の体勢になる。


「人数が多いから、カリカリ君とか安いアイスにしてね…」


と、みのりは遼太郎に耳打ちして、お金を預けた。遼太郎はクスリと笑いながら、


「わかりました。ありがとうございます。」


と、うなずいた。


 みのりが遼太郎に近寄ったとき、それまでラグビーをしていた彼からは、土埃と太陽の匂いがしていた……。



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