Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「仲松さん、世話になるね!」
みのりと遼太郎が振り返ると、ラグビー部顧問の江口が後ろに立っている。
「おはようございます!」
と、遼太郎はいつもの習慣からか、反射的に立ち上がると、大きな声で挨拶をする。
みのりの方は、江口ににっこりと微笑んた。
「いえいえ、頑張ってるかわいい生徒のためですから、これくらい。」
――かわいい生徒って、俺のことか……?
遼太郎は、首の後ろを掻きながら、みのりと江口を交互に見やった。
「狩野だけじゃなくて、二俣と衛藤もお願いしたいけどなぁ。」
みのりの椅子の背もたれに手をついて、江口がそう言うと、遼太郎はぎくりとした。
みのりとのこの朝のひと時を、誰にも邪魔されたくないという気持ちが、遼太郎の無意識の中にはあった。
「二俣くんと衛藤くんですか?うーん……、狩野くんの個別指導はかなりハイレベルなんですよねー。一緒には無理だと思うんですけど、また他の方法を考えておきます。」
江口を見上げながら、みのりが答えると、遼太郎はホッと胸をなでおろした。
そして、みのりが机に向き直ったところで、江口はまた口を開いた。