Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



「そうそう、この前ラグビーの指導者の集まりで石原ちゃんに会ったよ。『仲松さんは元気か?』って言ってた。よろしく言っといてって。」



「石原先生…そうですか。」


 石原という名前に、みのりの思考が一瞬止まったが、思い直したように再び江口を振り返る。


「石原先生、お元気でした?」

「おう、元気だったぜ。相変わらずヒゲ野郎だった。」


 みのりがクスリと笑うと、江口は手を振って体育教官室へと向かった。



 みのりは息を一つ大きく吐いて、意識の中から石原を追い出し、心を落ち着けた。


 マーク方式の演習問題を広げ、問題を解きながらノートの書き方を教えようとすると、今度は遼太か郎が口を開いた。


「先生は石原先生を知ってるんですか?」


 みのりの心臓は「石原」という響きにいちいち反応し、みのりはハッと息を呑んだ。


「…い、石原先生?うん、3年前にここで一緒に働いてたからね…。狩野くんはラグビー部で、お世話になったのよね?」


 まだみのりの心臓は激しく脈を打っており、平静を装うのは大変だった。



「はい。石原先生、すごくいい先生でした。俺の一番尊敬する先生です。」




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