Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
深く長いキスが終わり唇が離される時、先ほど食べたレモンの香りを感じる。
「あんなことしたら、我慢できなくなるじゃないか。」
みのりの顔を両手で包んで見下ろしながら、石原は甘く囁いた。
そして再び唇を重ねた瞬間、駐車場の方から車のドアの閉まる音と女性の話し声が聞こえて来たので、しょうがなく唇を離した。
石原は足早に車に乗り込み、エンジンをかける。
「早く帰ろう。」
「はい。」
短くそう会話して、石原は車を発進させる。
助手席に乗ったみのりは、先ほどのキスの余韻をまだ引きずっていて、胸の鼓動の激しさをなだめるように胸をさすった。
車が走り始めたその時、石原は急にハンドルを切り、レストランの一番端の駐車場に止まった。ギアをパーキングに入れサイドブレーキをかけ、シートベルトを外す。
「忘れ物ですか?」
そう言おうとしたみのりの言葉は、石原の唇により塞がれてしまった。
先ほどよりも情熱的なそれに、みのりは石原が強く自分を欲しているのだと感じ、同じように自分からも石原の唇を求めた。