Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 みのりが腕を縮め、身をすくめた時、みのりの腕で右手の甲が押され、遼太郎は自分の手のひらがみのりの胸の膨らみを押さえつけていると気が付いた。

 動揺が遼太郎を駆け巡る。

 その動揺を感じ取ったように、みのりもガタガタと震えだした時、女子のみのりを探す声が聞こえた。

 我に返った遼太郎は、そっと拘束を解くと、迷路を抜けて暗幕をめくり、ベランダへと出た。そこで、怪しい黒い服を脱ぎ棄てる。

 不意に右手に残るみのりの膨らみの感触を思い出すと、無意識に自分の体の下の方が反応していた。


 それを誰にも気取られないために、遼太郎はトイレの個室へと駆け込んだ。ふたを開けずに便器に座り、両手で顔を覆う。


 体中の血液が流れを増し、顔は火が出るくらいに、火照っている。体の反応も、なかなか収まらない。


――先生に、なんてことを……。あれじゃ、まるで変質者だ……!


 とてつもなく大きな、そして止めどもない後悔が、遼太郎を支配した。


 しばらくして動揺が少し収まった遼太郎は、ようやくトイレの個室を出ると、ちょうどその時、生徒は体育館へ集まる旨の放送が流れていた。



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