Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
それから、石原の目眩く愛撫が始まった。みのりはなすがままに、石原の唇と手とがもたらす感覚に溺れ、何度も甘い叫びとともに身を震わせた。
そして、一つになったとき、みのりは石原の首に腕を回し顔を引き寄せ、キスをしながら囁いた。
「石原先生……、好き。大好き……。」
この言葉に石原は動きを止め、何も言わずみのりを見つめた。みのりはその眼差しの中に、切ない苦悩があるのを感じ取る。
石原はその苦悩を払拭するように深く力強くみのりを抱き、再び恍惚へと導くとともに自分も登りつめた。
二人は乱れた息が落ち着くまで、体を横たえたまま黙ってお互いを抱擁しあっていた。
心も体も繋がって絶頂に達し、待ち望んでいた欲求は満たされたはずなのに、先ほど過った石原の苦悩が、それぞれ二人の気持ちに影を落とした。
その影を忘れさせてくれるように、石原のキスがみのりの額に瞼に頬に、そして唇に繰り返された。その行為を受けながら、みのりは必死に涙が零れるのを堪えた。
石原の苦悩の源を、みのりは知っている。
みのりの囁いた言葉に、同じ言葉を返してくれない理由を。