Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 石原の腕には力がこもり、彼の手はみのりの左の胸を包んだ。文化祭の時の遼太郎と同じ行為に、デジャヴのような感覚がみのりの体を駆け巡る。


 石原はみのりに髪に顔をうずめ、やがて唇は首筋をたどった。まるで、遼太郎にそうされてるような錯覚に侵されて、みのりの体は自然と硬くなる。

 石原に抱擁されながら、みのりの頭の中では遼太郎が占拠していた。意識は石原に集中できず、戸惑い混乱するみのりの体を翻させて、石原はいきなり深いキスをする。

 舌と舌とが絡む間も、みのりは石原の胸を押えて、心の中で叫んでいた。


――ちょっと、待って!


 しかし、そんな焦りとは裏腹に、石原はみのりを抱き上げてベッドへと運んだ。

 ベッドへ横たえられ見つめられても、不穏に鼓動が早まるばかりで、いつもみたいに胸は高鳴ってくれない。

 心の準備をして、石原だけしか考えられない気持ちになって抱かれたい。そうは思っていても、このように激しく求められると、体の方は否が応でも流されていく。


 薄着だったので、あっという間に服を脱がされ、みのりの肌は明るい照明と空気にさらされた。


「……電気を消してください……。」


 胸を腕で押さえながら、消え入るような声でみのりが辛うじて声を絞り出すと、再びキスをしようと顔を寄せていた石原は、柔らかく笑ってみのりの頬を撫でた。

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