Rhapsody in Love 〜約束の場所〜




 みのりの方も、石原が与えてくれる目の前の圧倒的な感覚に、ようやく戸惑いも薄れ、我を忘れて石原の背中に指を這わせた。

 みのりの息が乱れ、まぶたの裏に星が瞬きだした時、再び石原の携帯電話が鳴った。
 しかし、今度のみのりには、これを気にする余裕がなかった。着信音が鳴り響く中、みのりは石原がくれる感覚に夢中になり、石原はその行為に没頭していた。
 いつ着信音が途切れたのか、みのりが体を痙攣させてはじけ飛んだ時には、もう鳴っていなかった。

 息つく暇もなく、また違う感覚が繰り返しみのりを襲いはじめる。石原も息を乱し、体中から汗が噴き出している。
 再びみのりは恍惚とした海へと投げ出され、どさりと石原がみのりの体の上へと倒れこんだ。


 石原の首筋に伝わり落ちる汗を、みのりが手の甲で拭うと、石原は頭を起こしてキスをした。
 そして、みのりの隣に仰向けになると、左手でみのりを傍らへ抱き寄せた。


「今日はこのままこうやって、朝まで抱いていられる。」


 満足そうに石原が笑うと、みのりは嬉しいような、そうでないような複雑な心境になった。



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