Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
一人になって、改めてそれが自分の決心なのだと実感し、みのりは窓辺に崩れ落ちた。
――もう、石原先生とこんな風に会ってはいけない。
さっき、石原と抱き合っている最中、石原の奥さんは必死で彼に電話をかけ続けていた…。
それを思い返すにつれ、みのりの中の罪悪感はどんどん大きくなった。
これ以上、石原に嘘をついてほしくない。
周りの人を騙す罪を重ねさせてはいけない。
その時その時は些細なことでも、降り積もると取り返しがつかなくなり、そのうちきっと石原の傍にいる人を傷つけてしまう。
そして、石原自身が傷つき悔やむことになるだろう。
何よりも大事な石原だから、石原にそんなふうになってほしくない。
心は血を流して切り裂かれるように痛む。いくら涙を流しても、その痛みは癒えない。
石原を失う…そう思うと苦しくて、息をするのもままならない。
でも、もう終わりにしなくてはならない……。それが石原のためでもあり、前を向いて歩きはじめる自分のためでもある…。
みのりは何度も自分に言い聞かせて、夜は涙とともに流れていった。