Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
――やらしい目で先生を見るなよ。オッサン!
遼太郎は自分のことは棚に上げて、その男性を遠くから睨みつけた。
「よし、ランパスするぞ! 」
先ほどはまるで違う、二俣のまじめな声が響く。
遼太郎の意識はみのりから離れ、臨戦モードに切り替わる。それから、みんなの輪の中心になって指示を出し、練習を始めた。
このラグビーの秋季大会は、秋季国体の前ということもあって、一番の強敵である都留山高校は不出場だった。
都留山高校のラグビー部員のほとんどは、国体の県の選抜選手に選ばれている。芳野高校からも、二俣とウイングの膳所がメンバーに選ばれ、顧問の江口先生の喜ぶところとなった。
ただ、芳野高校は県の秋季大会にも出場しているので、二俣と膳所はこの後、強行スケジュールとなる。
――この時期にこんなにラグビー漬けで、二人とも入試は大丈夫なのかな?ま、国体まで出られたら、どこかの大学から引きもあるかもしれないけど……。
そんなことを考えながら、みのりは膝に肘をついて、試合前の練習風景を見下ろした。