Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 みのりは肘から下を確認し、足を投げ出して膝から下も確認した。そして首周りを確認するために、腰を浮かしてチェストの上の手鏡を取ろうとしたところで、


「そこはこれから付けてあげよう。」


と、石原に両手首を掴まれ、チェストの横のソファーに押し付けられた。
 石原の唇が首筋をたどって、鎖骨の辺りで止まり、強く吸われる。


「ダメ。そこだと見えちゃう服もあるから!」


 みのりが必死になっても、石原はしっかりと赤いしるしを残し、


「俺みたいに、ネクタイをしめればいいよ。」


と笑って、聞く耳を持たない。


「もう!ホントに困る…んっ…」


 抗議の口を開きかけていたみのりは、思わず艶のある声を漏らした。石原がそのまま唇を滑らせて、みのりの胸の柔らかさを確かめている。そうしながら、真面目な表情でみのりの顔を見上げて、囁いた。


「君は、どうやってこんなに綺麗になったんだ?」

「それは……。」


 みのりには、自分自身が綺麗かどうかなんて分からなかったが、こんなふうに言ってくれる石原を見つめ返しながら、その口元と顎の髭を撫で、唇に触れた。その石原の唇が、みのりの言葉を反復して「それは…?」と動く。


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