Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
彼らにとって、この試合は通過点に過ぎず、目標は花園予選を見据えている。少しでも強くなれるために、都留山高校と互角に戦える力を付けられるためには、些細なことでも貪欲に吸収しようと求めていた。
そんなひたむきさを見せる生徒たちを、みのりはとても愛しく感じてしまう。
それはラグビー部の生徒たちに限ったことではないが、クラスの他の生徒たちが受験に向かって力を傾注する中、この子たちは受験勉強と部活の最後の大会と両方に向かって頑張っている……。
それを改めて認識して、みのりは感動して涙がこみ上げてきた。
でも、今日は大きなサングラスをしているので、涙目になっても他人に気取られる心配はない。
江口の話が終わり、後半が始まろうとする時、ヘッドキャップを手に持った遼太郎が観客席を見上げる。
じーっとみのりの方を凝視して、口の端をかすかに上げて笑いかけた。
――……え!?
みのりの胸が、ドキンと一つ大きな鼓動を打った。