Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
――まさか、私を見てるわけじゃないよね?狩野くんのご両親でも、この辺にいたのかしら?
今日のみのりは意識して変装してきたので、自分だと見破られない自信があった。
遼太郎の笑顔が自分に向けられているとは思いもしないし、ここにいることは気づかれたくなかったので、みのりは何も反応せず、ただ遼太郎を見守った。
後半は、芳野高校はもっと波に乗り、試合はあっけなく大差で勝ってしまった。もともと出場校が少ない上、都留山高校が不出場ということもあって、芳野高校はこれで優勝することになるらしい。
前回の雨の中での白熱した試合のような感じを予想して、思いっきり応援をしようと思っていたみのりは、少々拍子抜けした。
試合後すぐに表彰式が行われて、優勝と準優勝のチームの選手たちが並ぶ中、二俣と膳所が賞状とトロフィーを受け取った。
後ろの選手たちの列にいる遼太郎は、取り立てて大柄なわけではなく、極めて平凡な選手だが、みのりは同じユニフォームを着る選手たちの中から遼太郎を瞬時で判別した。
肩を保護するためのショルダーベストを着けているので、いつもよりもがっちりといっそう逞しく感じる。