Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 進学校である芳野高校では、普段の授業とは別に、土曜日に行われる特別講義を「土曜学習」と称して行っている。

 日本史の土曜学習が行われているのは3年生のみで、それも国立系のクラスの子が対象だ。
 9月の最後の週末のこの日、みのりは普段授業をしていない生徒たちを相手に、センター試験対策の講義をして、お昼過ぎに帰宅した。


 部屋に入りホッと一息ついて、バッグから携帯電話を取り出した。すると、メールの着信を知らせるランプが点滅している。

 携帯を開いてみて、みのりは息を呑んだ。


「石原先生……。」


 メールを読むべきかどうか迷ったが、みのりは震える手でボタンを押して文面を開いてみた。


『この前は、急に帰ることになってしまって、寂しい思いをさせて、ごめん。
 娘はあの後3日ほど入院したけど、順調に回復して今は元気に幼稚園に通ってます。
 それで、今日この後から明日まで、時間が取れてそっちに行けそうなんだけど、みのりちゃんの予定はどうかな?』



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