Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「あ、見て!飛行機雲。」
みのりが空を指さしながら、振り向く。遼太郎はみのりのいる隣の窓から、空を見上げた。
二人ともしばらく、真っ青なキャンバスに一筋の白い線が引かれ、その線がぼやけていくのを眺めていた。
「こんなきれいな空を見ていると、心まで澄んでくるね。」
みのりの心が澄み切ったときには、自分を見てほしい――。
空に洗われて、余計なものがなくなった遼太郎の心には、みのりへの想いだけが残っていた。
「空が高いね。もう秋なんだね…。」
みのりが空を仰いで、深呼吸する。その光景を、遼太郎は宝物のようだと思った。
――空もきれいだけど、それ以上に先生の方がきれいだ……。
遼太郎は自分の好きになった人が、この空のように澄み切ってとても綺麗だということを改めて知った。
初めて知る感情に、戸惑いのような、心が弾むような、新鮮な感覚が次から次へと押し寄せた。
鼓動は激しくなり、心臓を掴まれているような苦しさを覚えた。でもそれは、決して嫌な苦しさではなく、甘い痛みを伴っている。