Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「それに、狩野くんは英語や国語や他の教科も同じように勉強しなきゃいけないし、日本史ばかりに偏っちゃダメだよ。」
とは言いつつ、遼太郎に負荷をかけて、偏らせているのは自分かも……と、みのりは思った。
遼太郎は、日本史に偏るつもりはなかったが、やはりみのりに認めてもらいたいという思いから、まずはさておいても日本史になってしまっていた。
「そういえば、狩野くん、指定校推薦の方は?選考結果はどうなったの?大体9月中には決まるでしょ?」
みのりは、前々から気になっていたことを思い出して、やっと遼太郎に訊くことができた。このところ個別指導を休んでいたから、訊く機会がなかったのだ。
「それが……。」
遼太郎は言葉を詰まらせる。みのりは途端に不安になり、悪い結果を想像した。
「まさか、ダメだったの……?選考されなかった?」
青ざめるみのりをなだめるように、遼太郎は両手のひらを胸の前でみのりに向けた。
「いや、そうじゃなくて。法南大学は願書の提出が遅いし……、まだ選考中だって言われました。」
「……そう。」