Rhapsody in Love 〜約束の場所〜

10 女同士の話




 9月の最終週に、前期の学期末考査が始まった。
 みのりは日々の授業や雑務に追われ、考査の問題作成が大幅に遅れ、1年生の日本史も3年1組の日本史も問題が出来上がったのは、やっと前日になってのことだった。


 試験問題は、易しい問題にして皆に高得点を取ってもらいたいのはやまやまだが、それだと評定が付けられなくなるので、大体平均点が60点台になるように作成される。

 欠点者を少なくするための易しい問題、きちんと勉強した子に報いるための難しい問題、いろいろと織り交ぜて作成するのだが、さじ加減を少し誤ると、平均点が高すぎたり低すぎたりと、何かといろいろ後が大変になってくる。


 歴史の問題は写真などもよく使うので、印刷の出方も調整しなければならず、何日もかかってパソコンと向き合い、ようやく考査問題は出来上がる。



 3年1組の問題を作成する最中、何度か遼太郎の顔が脳裏に浮かんだ。
 何とかいい点を取って、指定校推薦の選定を受けてほしい……。今のみのりの一番の気がかりはそれだった。


――でも、多分、大丈夫。狩野くんだったら、きっと……。


 これまでの遼太郎の頑張りと、結果を出すために努力ができることを知っているので、みのりはどこかで信念を持ってそう思っていた。


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