Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
遼太郎はいつもまっすぐな目で、何でも真摯に受け止めて、すべてを自分の栄養にしているみたいだ。それでいて、他人を深く思いやり、力になろうとする優しさもある。
遼太郎はすでに、みのりの想定している〝いい男〟以上の存在なのかもしれない。
惜しむらくは、エンジンのかかるのが少々遅かったことだ。中間考査でもこれだけの成績を出せていたら、指定校推薦の選定も難なく受けられていたかもしれない。
みのりはこの件に関しては、学年部も違い進路指導部でもない部外者だったので、意見を反映させてもらえず、もどかしい気分で事の成り行きを見守るしかなかった。
全県模試での遼太郎の日本史の結果の方は、3年部の先生方も注目することになり、国立文系クラスの今一つ成績が伸び切れていない生徒を対象に、みのりに個別指導をしてもらってはどうか……という意見が出ていた。
多分、3年1組にも本試を受けることになる生徒も出てくれば、こちらも個別で入試対策をしなくてはならなくなる。これ以上、仕事の負荷を増やしたくないと思うみのりだったが、生徒のためだったら、努力は惜しみたくなかった。