Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 自分がそんなふうに、生徒たちから見られているとは意外だった。生徒たちは、裏サイトに書かれている内容が自分たちには耐えられても、みのりには耐えられないと思っている。
 実際、見てみたいとも思わなかったが、そんなサイトの存在がみのりに心に影を落とした。


「そんな裏サイトのことじゃなくて……、そうねえ。君たちの恋バナなんか、どう?」


と、みのりは話の方向を変える。


「えっ!?私たちの恋バナ?」


 二人は、一瞬黙り込んだ。


「ないない!全然ない!見てて分かるでしょ?先生!」

「だーって、全然いい男いないんだもんー!!」


 いきなり激しい反応を見せた宇佐美と平野に、みのりは目を丸くする。
 ちょっとは照れ隠しもあるのかもしれないが、この大袈裟すぎる反応は、何だかちょっとオバサンくさくもある。


「いい男いないかなぁー?結構身近にいそうだと思うけど……。」


――狩野くんなんて、いい男じゃないの……。


と思いながら、みのりはつぶやいた。


「ええっ!?そう?例えば、誰がいる?先生。」


 宇佐美が身を乗り出す。
 みのりは紅茶のカップをそれぞれの前に置きながら、目をパチパチさせた。


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