Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
前からつき合っている彼女なら、励ましにもなるだろうが、これから関係を築くことに気を逸らされると、他のことに支障が出かねない……と、みのりも思った。
「それで、狩野くんは何て答えたの?」
みのりは、その答えが気になってしょうがなかった。優しい遼太郎のことだから、もしかしてつき合うことにしたかもしれない。
「さあ…?よく知らないけど、好きな子がいるとかどうとか言ったみたいで、断ったみたいよ。」
平野のあんまり興味のなさそうな返答を聞いて、みのりはホッと胸を撫で下ろしたのもつかの間、
――好きな子…!?
と、別の事が気になった。
――狩野くんって、自分の恋愛に関しては素っ気なくて、全然興味ない感じだったけど…….、ちゃんと好きな子はいたんだ……。
と、平野の話と普段の遼太郎の感じとがかけ離れていることが、みのりはすっきりしない。
自分が知らない遼太郎の一部分がある。
遼太郎は、教師の自分には言えない秘密を抱えている。
その事実は、すんなりとみのりの腑に落ちてくれず、もどかしさを感じさせ、落ち着かせなかった。
そこで、みのりは自分が悶々と物思いをしていることに気がついた。
――健全な18歳の男の子なんだから、好きな子がいるくらい当然のことじゃない……。
そう自分に言い聞かせて、心の中のざわめきを気取られないように笑顔を作った。