Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
式典が終わって15分間の休憩が入り、次はいよいよ、現役の大臣による講演が行われる。
放送部顧問の先生が、マイクの点検をし、演説台の横に移動式のホワイトボードを設置した。
それが終わると、ステージの端から水差しとグラスをお盆に載せたみのりが出てきた。一人でステージに出てきて、中央にある演説台に置くのだから、いやがおうでも皆の目に入ってくる。
遼太郎の周囲でもざわめきが起こった。
「あの人、誰?」
「え、誰だろ?」
「誰か、卒業生が手伝ってるのかな?」
「え、先生じゃないの?」
「あそこまで美人の先生、この学校にいる?」
今日のみのりは別に変装をしているわけではないのだろうが、ステージ上の美女がみのりだとは、誰も分からなかった。
遼太郎にもそれは信じられないほどの光景だったが、みのりというのは何故だか判った。たとえ、みのりの爪の先を見ただけでも、それがみのりであると見抜く自信があった。
ステージ上の美女は、演説台に水差しとグラスを置いた。