Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
美女がお盆を脇に抱えてステージの裾へ下がろうとした時、体育館前方の端に座る3年1組の方を見える。美女の視線の先に誰か知っている生徒を見つけたのだろうか、にっこりと笑顔を作って向けた。
遼太郎はその笑顔を見た途端、身体中に電流が走った。息ができなくなり、手がわなわなと震えたが、もうその笑顔から視線を離せなかった。
遼太郎の周りの男子も、一様に固まってしまっている。
その時、生徒に気を取られていた美女の手から、お盆が滑り落ちた。お盆はステージ上をくるくると転がり、しまいには飾られている花の植木鉢をすり抜け、ステージから落ちて大きな音を立てた。
美女の笑顔が、青ざめたものに一変する。
速足でステージ脇に下がり、すぐさま前のドアから出てくると、3年1組の面々の前を通って、あたふたとお盆を回収して戻っていった。
「…あれ、仲松先生じゃない?」
宇佐美がヒソヒソと、口を開く。
「そうよ…!あのドンくささ、間違いないわ…。」
平野も宇佐美の見解に、同意した。
「えっ!あれ、みのりちゃん!?嘘だろ!?信じられん。綺麗すぎだろ…。」
二俣も目を白黒させて、動揺したような口調で言った。