Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
遼太郎は、もともとみのりのことを、とても綺麗だと思っていた。
それは、自分の気持ちを自覚する前からで、四月に出会ってから間もなく、そう思うようになった。
それからいつも、みのりばかり目で追うようになり、みのりが視線を投げ掛けてくれた時には、必然的に目が合うことが多くなった。
個別指導をしてくれるようになっても、いつも視界の端にみのりを捉えていなければ落ち着かなくなった。
そうやって、いつもみのりを見つめていた遼太郎でさえも、今日のみのりは際立っていた。
想像を絶するみのりの美しさは、却ってみのりを遠くに感じさせ、遼太郎を不安にさせた。自分などは到底釣り合いのとれない存在のように感じられた。
早く話をして、いつものみのりと変わりないことを確かめたかった。
現役の大臣だろうが何だろうが、退屈には違いない講演が終わり、会場の片付けの後、生徒たちは放課となった。
――何か、仲松先生に用事はないかな……?
終礼が終わり、遼太郎がそんな思いを巡らしていた時、担任の澄子から呼び止められる。騒がしい教室ではなく、人気のまばらな廊下のところまできて、澄子が遼太郎に向き直った。