Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 でも、今日はこんな話をするにはふさわしくない。

 女の子を振るなんて、まじめな遼太郎にすれば、心持ちのいいことではないだろう。それを持ち出して、今日の遼太郎の喜びを台無しにしたくない。


 遼太郎の指定校推薦が決まったことは、何よりもみのり自身が胸をなでおろし、喜びで満たされていた。


「……よかった。」


 みのりは職員室の机に肘をついて、顔を両手で覆った。
 周りの教師たちに、少し泣いてしまったのを気取られたくなかった。




 次の週の月曜日、3年1組の教室に入ってきたみのりを見て、生徒たちはどよめいた。

 その日の朝は個別指導がなかった遼太郎も、これを見て驚いた。そして、胸がキュンと絞られた。


「……何?何かあった?」


 なぜどよめきが起こっているのか理解していないみのりは、生徒一同に向かって不安そうに尋ねる。


「何って、髪よ、先生。切ってるじゃん!」


「ああ!そうなの。髪を切ったの。後期も始まったし、記念式典も終わったからね。心機一転よ!」



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