Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



「そういえば式典の日の先生、綺麗になるために峰不二子をお手本にしたって言ってたなぁ…って、思い出したんです。」


 思い出しながら、また可笑しさがこみ上げてくる。


「何?峰…?」

「峰不二子って言った?」

「ルパン3世の?」

「……!」


 一瞬の沈黙の後、どわっ!と教室中が沸いた。


「いやー、先生。面白すぎ!」


「ガッキーじゃなくて、不二子ちゃんだったかー。」


「先生―、これから、俺。『ふぅーじこちゃーん♡』って、呼ぶことにするわ。」


「先生、先生!『ルパーン♡』って、言ってみて!」

 皆お腹を抱えて、笑い転げている。


 大騒動の中、面食らったみのりは、遼太郎と目を合わせた。
 遼太郎が謝るように肩をすくめたので、みのりは教卓に肘をついて息を抜くように笑った。


 その時、隣の教室で授業をしているはずの古庄が、教室の後ろのドアを開けた。しかし、その周囲の者しかそれに気が付かず、依然生徒たちは騒いでいる。


「あっ!仲松先生。いたんだ。」


 教壇の上にいるみのりを見て、古庄が言うと、生徒たちはいっせいに古庄を見た。


「あ、すみません。うるさかったです?」


 教卓の前からみのりが声をかける。


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