Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
現に今も、みのりの心を暗く蝕んでいる哀しい出来事も、洗い流されていくようだ――。
一昨日の土曜日の午後のことだった。石原から再びメールが届いていた。
勇気を振り絞って、文面を開いてみたら、思ったような通りの内容が書かれていた。
何か悪いことをしたのなら、謝るので許してほしい。君はとても大事な人だから手離したくない。どうすればいいのか教えてくれ。
そんな内容が切々と書かれているメールを読むと、やはり涙が零れた。
無視し続けるみのりに対して、「どうして連絡をくれない?」と言って問い質したり、責めたりする言葉がないのが、石原らしかった。
石原は、みのりが自分のことを何よりも想い、愛していると信じ込んでいるのだろう。実際、みのりも石原に対して、ずっとそういう愛情表現をしてきていた。
だからこそ、みのりの態度に困惑し、その困惑が通り過ぎた後は、別れの予感に怯え、言葉を尽くして必死にみのりを繋ぎ止めようとしている。
これまではずっと、みのりの方が怯え続けてきた。
石原の奥さんに気取られるのではないか。いつまでこうやって、心も体も繋がって抱かれることができるのか。気持ちが冷めて、連絡が来なくなるんじゃないか――。