Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
今までに教え子相手に、自分の恋愛のことを話したことはない。生徒には自分のプライベートを知られないように、一線を画していたところがある。
でも、不思議なことに、遼太郎が相手だと、この一線を意識することさえなかった。みのりは遼太郎の前では、いつも等身大で素直な自分でいられるような気がしていた。
顔を見ただけで、なぜかホッと安心できる……。
多分それは、遼太郎の純粋さと真摯な態度がなせる業なのだと、みのりは思っていた。
そんなふうに自分をリセットしていても、石原から切ない内容のメールが来たら、やはりみのりの心は痛んだ。
メールがくるたび、澄子を呼び出すわけにもいかない。このやるせない気持ちを、何か紛らわせることはないか…。
それで、髪を切ることを思い立った。
次の日、みのりは早速美容院へ行った。いつもならば、イメージがあまり変わらない程度にしか髪を切らないみのりだったが、
「今回は、バッサリ切りたいんですけど。」
と、宣言した。
いつも担当してくれる美容師さんも、目を丸くする。