Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
12 ラグビーの勉強
「狩野くん。部活の方は大丈夫?きつくない?」
朝の個別指導で、問題に取り組む遼太郎に、みのりが訊いた。
普段は決して遼太郎の集中を乱すことをしないみのりだったが、この時は頭の中に浮かんが心配事が、不意に口をついて出てしまった。
朝は7時半前からこの個別指導をしているので、遼太郎が家を出るのは7時くらいだろう。
部活が終わるのが8時くらいらしいので、家に帰るのは9時前になる。それから夕食を食べて、お風呂に入って、宿題や入試の準備をして…となると、眠りにつくのは何時ごろになるのだろう。
みのりが渡してくれた問題に集中していた遼太郎は、みのりが話しかけてきたことに気が付かなかった。
みのりが諦めて一緒に問題用紙を覗き込んだ時、話しかけられていたことに気が付いた。
「……何?何か言いましたか?」
遼太郎の集中を乱して悪かったとばかりに、みのりは首を振って、
「ううん、何でもない。ごめんね、続けて。」
と、話を終わらせようとしたが、遼太郎は口をとがらせた。