Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「教えてくれないと、却って気になって集中できません。」
「うん…。ごめん。ちょっと狩野くんの部活のことが気になっちゃって。体はきつくない?」
みのりの優しい言葉に、遼太郎の表情も和らいだ。
「きつくありません。生活が全体的にすごく充実してる感じだから、すごく調子がいいです。」
にっこりと自信に満ちた遼太郎の笑顔を見て、みのりの胸が一つ大きくドキンと鼓動を打った。
遼太郎が虚栄ではなく、本当のことを言っているのは、顔を見れば判る。
「そっか、ちょっとしんどいようなら、狩野くんの負荷をどうやったら減らせるか考えなきゃって、思ってたんだけど。心配いらないのかな…?」
「しんどくないし、日本史の個別指導はやめません!」
みのりが心配していることを察知して、遼太郎は速攻でそう答えた。また、みのりが『やめた方はいいのでは…』と言い出すのではないかと、気が気ではなかった。
個別指導を始めるとき、あれほど強い押しだったみのりなのに。
「……わかってます。続けましょう。狩野くんが、そんなに日本史好きになるとは思わなかったな。ただ、頑張りすぎちゃダメだよ。肝心なところで倒れたら、何のために頑張ったか分からないものね。」