Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
机に組んだ両腕をついて、みのりは遼太郎を優しい顔で覗き込んだ。
問題に集中することで雑念を封じ、精神統一していた遼太郎だが、この顔を見て気持ちが緩んで、一瞬で動悸が激しくなる。
「…だ、大丈夫です。朝、先生の顔が見れたら、元気が出るから。」
遼太郎はそう言うと、みのりが反応するよりも早く顔を赤くした。自分が言ったことを自覚すると、ものすごく恥ずかしくなってしまった。
これでは、自分の気持ちを半分くらい打ち明けてしまったようなものだ。
みのりの胸の奥にトクン……と、そんな遼太郎の言葉が響いたが、遼太郎の反応の方が顕著なので、みのり自身の感覚はなおざりになってしまう。
「そんなに恥ずかしいなら、無理してそんなお世辞を言わなくてもいいのに…。」
みのりが呆れ顔で言うと、遼太郎は、
「お世辞じゃありません。」
と、ちょっとムッとした顔つきになった。
高校生らしい遼太郎の反応を見て、みのりは軽く肩をすくめる。
「そう、だったら嬉しいな。私も、朝早く狩野くんが来てくれると思うと、今日も一日頑張ろうって気持ちになるよ。」