Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
智香の後ろ姿が消えたのを確認して、みのりが口を開く。
「狩野くん。あの子に告白されたんでしょ?」
必死で感情をコントロールしようとしていた遼太郎に、この一言は追い打ちをかけた。パイプ椅子に座ったまま思わず後ろずさりして、みのりを見つめてゴクリと唾を飲み込んだ。
「……何で、…知ってるんですか…?」
遼太郎は、ようやくそう言葉を絞り出した。
「何でって、女の子たちが言ってた噂を聞いたのよ。」
遼太郎の衝撃の割には、みのりの反応はサラッとしたものだ。
「……う、噂?」
遼太郎が反復すると、みのりはニッコリと笑った。
「そうそう、噂になってたみたいよ。どこからどう伝わるんだろうね~。…でも、相手があの子だっていうのは、私の勘よ。当たってたでしょ?」
「どうして、あの子だって判ったんですか?」
遼太郎は大きく息をして、動揺しているのを気取られまいとしていた。
「だから、勘よ。確証はなかったけど、狩野くんの周りをじっくり観察していれば、それくらい判るわよ。」