Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



「観察……?それって、他のどの生徒も、そういうことがあったら判るんですか?」


 本当にどの生徒の場合も判るんだったら、みのりの観察眼は驚異的だ。


「ううん。多分、判るのは狩野くんだけだろうね。」


「…….俺だけ?」


 遼太郎の動揺が一瞬で収まり、ホワンと心に温かいものが漂ってきた。


「何で、俺だけなんですか?」


 その答えが、無性に遼太郎は知りたかった。


「何でって…。狩野くんはいちばん一緒にいることの多い生徒だし…。うーん…。何て言ったらいいんだろう…。」


 そう言いながら、みのりは目を伏せて少し考え込んだ。


「……そうね。狩野くんは一人の人としてとても魅力的だから、もっと狩野くんのこと知りたいと思って、見ているからじゃないかな?」


 自分の気持ちを一つ一つ確認しながらそう話し、遼太郎を見返した時、みのりの目をジッと見つめている遼太郎の瞳がそこにあった。

 今度は気のせいではなく、みのりの鼓動がドキン!と大きく脈打ち始めた。以前のように、遼太郎に抱きしめられたり触れたりしていないのに、動悸はどんどん激しくなる。


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