Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
遼太郎は、みのりがたった今発した言葉の意味を噛み締めていた。胸がいっぱいになってしまって、何と応えていいのか分からない。
まるで、恋してることを告白したようにも受け取れる言葉だ。その真意を探ろうと、遼太郎はみのりの目をまっすぐ見つめた。
みのりも自分が言ったことを思い返して、自分の中にそんな想いがあることに改めて気づき、突然赤面してうろたえた。
「あの、その……。」
深い意味はないと、遼太郎に言いたかったが、言葉には嘘はなく、みのりの正直な気持ちだった。取り繕うと、逆に変な誤解を生じかねない。
「そう…。それで、狩野くんは『好きな子がいる』って断ったらしいけど、そこが私の記憶と違うから、『あれ?』って思ったんだよね…。」
みのりは、自分の狼狽を隠すように、話の矛先を遼太郎に移した。
以前、遼太郎が「心の底から好きな人」はいないと言っていたこととの矛盾を、みのりは衝いていた。
「それは……。」
遼太郎は言葉を詰まらせる。
本当のことを言いたいのはやまやまなのだが、それはみのりに「好きだ」と伝えることになる。