Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「おっと、もう職員朝礼の5分前だ。…ごめんね、今日は雑談しちゃって、貴重な時間を無駄にしちゃったね。」
「いや、大丈夫です。」
遼太郎は肩をすくめるように、ほのかに笑った。本当は勉強よりも、こんな風にお互いを知り合える会話をしたいとさえ思った。
「そうそう雑談ついでに、今度の土曜日から花園の予選でしょう?トーナメントの対戦表とかあるなら、コピーしてほしいんだけど。江口先生に言った方がいい?」
「ああ、部室にあったから、持って来ます。…先生、応援に…?」
遼太郎は期待を込めて、みのりを見た。
「うん、行くよ。約束したじゃない。ラグビー観戦、面白いし。」
無邪気なみのりの笑顔は、30歳とは思えないほど可愛らしく、思わず遼太郎は見とれてしまう。
「ああ、それと!次の試合の応援までに、狩野くんに訊きたかったんだ。」
「…なんですか?」
「ラグビーのこと。ちょっとルールがよく分からなくって。ちゃんと解ってたら、もっと楽しめると思うのよねー。」
本を見たり、ネットで調べたりも出来るのに、自分に訊いてくれるのが、遼太郎は嬉しかった。