Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



「わかりました。」

「それは、狩野くんの方が先生だね。」


 遼太郎が頷くと、みのりは楽しそうにニッコリと笑った。
 その笑顔に、遼太郎はキューッと胸が苦しくなって、思わず胸に手を当てた。


 職員朝礼が始まるチャイムが鳴り始めると、みのりは急いで立ち上がる。そして、


「それじゃ、狩野くん。また今日の授業で…。」


と言い終わらないうちに、職員室へ駆けていった。



 放課後、遼太郎が部室にあったトーナメント表をみのりのところへ持って行こうとすると、二俣もみのりに会って激励してほしいのだろう、一緒に付いてきた。

 ラガーマン姿の二人が職員室へ入って行くと、いやがおうにも皆の目に止まる。ラグビージャージを着る二俣は、学生服姿よりも一回り大きく見えた。



 職員室のみのりの席に主はおらず、机の上にはストローのついたままのカフェラテが置かれてあるだけだ。
 二俣がつまみ上げて、それを振って確かめる。


「まだ、随分残ってるぜ。」


 遼太郎はキョロキョロと、周りを見回して探したが、みのりの姿は見当たらない。


「俺、ちょっと探してくる。」


と、遼太郎はそこを離れた。


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