Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
10月の最後の週末から、全国高等学校体育大会ラグビーフットボール大会県予選会、いわゆる花園の予選は始まった。
試合は週末ごとに行われ、11月の下旬が決勝戦の予定だ。
ラグビー部のある高校はそう多くはなく、あっても15人のレギュラーメンバーが揃わない学校もあり、出場校は案外少ない。なので、4回ほど勝ち上がれば、5回目の試合が決勝戦となる。
遼太郎の熱心なレクチャーもあって、難解なラグビーのルールも、みのりはしっかり習得し、その知識を早く実戦で確かめたくてウズウズしていた。
遼太郎のラグビーの説明は、みのりに解ってもらいたい一心だったためか、とても適切で解りやすいものだった。
ラグビーへの愛さえ感じられる遼太郎の態度は、みのりの遼太郎に対する興味をいっそう強くさせた。
初戦の試合当日、何も予定を入れなかったみのりは、早めに競技場へ到着し、ラグビー部員たちの練習風景を眺めていた。
今回は変装などはしていないので、顧問の江口もみのりに気がつき、片手を挙げて挨拶してくれた。
コンタクトバッグに向かって順番に当たる練習をしていた選手たちの中から、最初にみのりに気づいたのは二俣だった。