Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
二俣はみのりに合図をするよりも先に、遼太郎のところへ行って、みのりが来ていることを告げる。
遼太郎はみのりに視線を投げ、ニコリと笑顔を見せてくれる。みのりが同じ笑顔を返して手を振ると、それに力を得たように、遼太郎はヘッドキャップを被り直してコンタクトバッグに勢いよく当たった。
試合本番は、タックルに来る選手も勢いづいて当たってくるので、ぶつかり合う時の衝撃はもっと激しいに違いない。
そんな妨害に遇いながら、戦略通りに攻撃をするなんて、本当に大変なことなんだろう…と、みのりは改めて感心してしまう。
他の応援客がパンフレットを持っていたので、みのりも1部数百円のそれを買い求め、パラパラとめくってみる。
そのパンフレットにはトーナメントの対戦表や各高校の選手の一覧が載せられている。
――わ、ポジションだけじゃなく、身長と体重まである…。
やはりラグビーには、身体の大きさというのは重要らしい。みのりは意識せず、いち早く遼太郎のところを確認していた。
――狩野くんは178cmで73kg、見た目より案外重たいんだな…。
遼太郎はどちらかというと細身の印象だ。けれど、73kgもあるということは、あの身体は、よほど鍛えられた筋肉で被われているのだろう。