Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
日本史の指導の方は、もう指導の余地がないくらい遼太郎の学力は定着していた。指導と言っても、確認程度で終わってしまう。たまに、ケアレスミスなどはあるが、これはみのりにもあることだ。
隣で問題を解く遼太郎の横顔を見つめて、とても頼もしく思った。
努力に裏付けられていて、しっかり結果が出せることが分かっているからこそ、安心して見ていられる。
それは、日本史だけではなくラグビーでも同じだった。チームメイトも遼太郎に全幅の信頼を寄せていることは、おとといの試合を見ていてもよく分かった。
――この調子なら今度の全県模試は、何も心配いらないね……。
そう思って、みのりは少し寂しく感じた。
その全県模試が終われば、遼太郎とのこの朝のひと時も終わる。そしてその後、この朝の時間は、他の生徒の個別指導に当てることになるだろう。
遼太郎があまりにも問題をサクサク解いていくし、あまり解説の余地もないので、用意していた問題が終わっても、随分時間が余ってしまった。