Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 このまま個別指導は終わりにして、遼太郎は教室へ行かせ、みのり自身は職員室で仕事をしても良かったのだが……、みのりはこの残り少ない時間を大事にしたかった。


 普段の遼太郎に接しることができて、試合での衝撃が薄れてきていたみのりは、試合のことが訊いてみたくなった。


「おとといの試合は、勝てて良かったね。でもまだ、これからだもんね。これから毎週末試合があるから、大変だね。」

「勝てば……、ですけど。」


と、遼太郎は肩をすくませる。

 この大会で負けたらそこで終わり、遼太郎は引退となる。


「大丈夫、負けないから。都留山高校と芝のグラウンドで決勝戦するまでは。」


 みのりが断言するように言うので、遼太郎は面食らってみのりを見返した。


「おとといの試合を見てて、そう思ったの。狩野くんや他のみんなも、すごく練習したのね。9月とは比べようもないくらいいいチームになってた。チームのみんなも、狩野くんのことを信頼してるのが………よく分かったし……。」


 みのりは話をしている途中で、少し言葉を途切れさせた。



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