Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「ちょっと遠くから見てたから、二俣くんからは見えなかったのね。でも、二俣くんが2本もトライを決めたのはバッチリ見てたよ。特に、2本目の22mラインからの独走はすごかったね。2人もハンドオフしてかわすなんて、さすが二俣くんだよね。」
みのりが話した再現ビデオのような昨日の試合の場面は、実際に観戦したものでなければ知りえないことだった。
『さすが』と言われた二俣は、顔を赤くする。
「22mラインとかハンドオフ……って、みのりちゃんこそ結構ラグビーに詳しいんだな。」
テレを隠しながら、二俣はみのりの方へと話を振る。
「それは…」と、みのりはチラリと遼太郎へ目をやった。
「狩野くんに頼んだら、いろいろと教えてくれたのよ。ね?」
首をかしげながら、みのりは遼太郎に同意を求めた。その何気ない仕草と優しい視線に、遼太郎の息が止まり、体は硬直して立ちすくんだ。
二俣も遼太郎を振り返ると、ちょっと訝しそうな視線を向けた。
「……遼ちゃん、結構スケベだな…。」
「……ス……!?」
硬直していた遼太郎は、追い打ちをかけられ言葉を詰まらせた。
二俣は意味ありげな視線を投げ、みのりと親密になりたい遼太郎の下心を訝っていた。